No.24010 ツキヨタケを喫食したことによる食中毒ー兵庫県

[ 詳細報告 ]

分野名:自然毒等による食中毒
衛研名:兵庫県立健康科学研究所
報告者:健康科学部 吉岡直樹
事例終息:事例終息
事例発生日:2023/10/29
事例終息日:2023/10/31
発生地域:兵庫県美方郡香美町
発生規模:
患者被害報告数:4名
死亡者数:0名
原因物質:イルジンS
キーワード:毒キノコ、ツキヨタケ、イルジンS、LC-MS/MS

概要:
 2023年10月29日に兵庫県美方郡香美町の家庭において、同町内の親族から野外で採取したキノコを譲り受け、同日、自宅で炒め物にして喫食した家族4名(男性2名、女性2名)が嘔気、嘔吐、腹痛等の食中毒症状を呈した。10月31日に兵庫県立健康科学研究所において、調理残品であるキノコを分析した結果、イルジンSを検出したこと、及び医師から食中毒の届出があったことから、同日、健康福祉事務所(保健所)は当該キノコを原因とする食中毒と断定した。

背景:
 厚生労働省の食中毒統計によると、キノコを原因とする食中毒は令和5年には全国で24件報告されており、そのうち12件がツキヨタケによるものである(推定も含む)。

地研の対応:
 健康福祉事務所(保健所)より、喫食したキノコは外観からツキヨタケの可能性が高いという報告があったことから、兵庫県立健康科学研究所において調理残品であるキノコ(主に石突き部分)をLC-MS/MSにより分析し、ツキヨタケの有毒成分であるイルジンSを1100 μg/g検出した。

行政の対応:
 患者を診断した医師から食中毒の届出があったことから、豊岡健康福祉事務所(保健所)はツキヨタケを原因とする食中毒と断定し、同事務所及び兵庫県保健医療部生活衛生課が記者発表を行い、県民に対し毒キノコによる食中毒予防の注意喚起を行った。

原因究明:
 

診断:
 

地研間の連携:
 LC-MS/MS分析条件は、滋賀県衛生科学センター友澤らの報告(第59回全国衛生化学技術協議会年会講演集)を参考にした。

国及び国研等との連携:
 

事例の教訓・反省:
 

現在の状況:
 ツキヨタケ中のイルジンSのほか、標準物質が市販されているキノコ毒に関しては機器分析が可能な体制になっている。

今後の課題:
 

問題点:
 

関連資料:
 令和6年度地方衛生研究所全国協議会近畿支部自然毒部会研究発表会講演要旨集

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