がん予防(令和7年4月9日)

参照元URL:https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000059490_00004.html

がん予防

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がんと生活習慣との関係は?

 がんの発生に関して、さまざまな生活習慣が影響を及ぼしていることが近年の研究により、わかっています。予防が可能ながんのリスク因子としては、喫煙(受動喫煙を含む。)、飲酒、身体活動(運動不足)、肥満・やせ、野菜・果物不足、塩蔵食品の過剰摂取、感染症※等があります。

誰でも、生活習慣を改善することで、がんの予防に取り組むことができます!

※発がんに大きく寄与するウイルスや細菌としては、子宮頸がんと関連するヒトパピローマウイルス(HPV)、肝がんと関連する肝炎ウイルス、成人T細胞白血病(ATL)と関連するヒトT細胞白血病ウイルス1型(HTLV-1)、胃がんと関連するヘリコバクター・ピロリ(ピロリ菌)等があります。

出典:国立がん研究センター がん情報サービス
   科学的根拠に基づくがん予防:[国立がん研究センター がん情報サービス 一般の方へ]
   (令和7年3月4日アクセス)


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がんの発生要因

1.喫煙

● たばことがん 
 喫煙が肺がんの原因であることはよく知られていますが、他にも多くのがんの原因であることが明らかになっています。多目的コホート研究では、喫煙者が何らかのがんになるリスクは非喫煙者の 1.6 倍(男性)と 1.5 倍(女性)という結果でした。最終的には禁煙をすることが何よりも大切です。
出典:国立がん研究センター 多目的コホート研究の成果(2016年12月)
    JPHCpamphlet201612-4.pdf

● 加熱式たばこ
 たばこ葉やその加工品を電気的に加熱し、発生させたニコチンを吸入するたばこ製であり、紙巻たばこに比べて健康影響が少ないかどうかは、まだ明らかになっておりません。化学成分を分析した結果からは、加熱式たばこの主流煙には、多くの種類の有害化学物質が含まれるものの、ニコチン以外の有害化学物質の量は少なかったと報告されていますが、販売開始からの年月が浅いため、長期使用に伴う健康影響は明らかになっていません。
引用元:健康日本21アクション支援システム Webサイト(旧:e-ヘルスネット)

● 禁煙治療
 以下の4つの条件を満たしている方で、医師が必要と認めた方は、保険診療で禁煙治療が受けられます。
条件1:現在たばこを吸っていて、ただちに禁煙しようと考えている
条件2:ニコチン依存症の診断テスト(下表)の結果が5点以上で、医師にニコチン依存症と診断されたもの。
条件3:医療機関で禁煙治療について説明を受け、治療について文書により同意する。
条件4:(35歳以上の方のみ)以下に該当している。


出典: 健康日本21アクション支援システム Webサイト(旧:e-ヘルスネット)

<ニコチン依存度テスト>

【参考】
 サイト内リンク 禁煙支援マニュアル|厚生労働省

● 受動喫煙とがん
 喫煙習慣が自分の体だけではなく他人の健康にも害を与えているという受動喫煙の影響は特に見過ごせません。多目的コホート研究の非喫煙女性のうち、夫が喫煙者というグループでは、非喫煙者というグループに比べ、肺がんのうち女性に多い腺がんというタイプに限るとリスクが約2倍という結果でした。
出典:国立がん研究センター 多目的コホート研究の成果(2016年12月)
    JPHCpamphlet201612-4.pdf

 日本では、2020年4月1日に、健康増進法の一部が改正され、望まない受動喫煙の防止を図るため、特に健康影響が大きい子ども、患者の皆さんに配慮し、多くの方が利用する施設の区分に応じ、施設の一定の場所を除き喫煙を禁止するとともに、管理者の方が講ずべき措置等が定められました。
出典:なくそう!望まない受動喫煙。

【参考】 
 サイト内リンク 受動喫煙対策|厚生労働省

2.飲酒

 多目的コホート研究では、1日に日本酒換算で3合以上の飲酒習慣がある男性は、ときどき飲む(【1合/日】未満)グループに比べて全てのがんリスクが 1.6 倍、脳卒中のリスクも 1.6倍に高くなることが明らかになりました。また、全く飲まない男性に比べて、毎日2合以上の飲酒習慣のある男性では、食道がんリスクが 4.6 倍、大腸がんリスクが 2.1 倍に、さらに毎日1合以上の飲酒習慣では、進行前立腺がんリスクが 1.5 倍に、女性では乳がんリスクが 1.8 倍になることも明らかになりました。女性の方が体質的に男性よりも飲酒の影響を受けやすいので、より少ない量でリスクが上がり始めるともいわれます。
出典:国立がん研究センター 多目的コホート研究の成果(2016年12月)
    JPHCpamphlet201612-4.pdf

がん予防のためには、飲酒しないことがベストです。飲まない人、飲めない人は無理に飲まないようにしましょう。

● 飲酒量の把握の仕方
 お酒に含まれる純アルコール量は、
「純アルコール量(g)=摂取量(ml)×アルコール濃度(度数/100)×0.8(アルコールの比重)」
で表すことができます。

 例: ビール 500ml(5%)の場合の純アルコール量
   500(ml) × 0.05 × 0.8 = 20(g)

3.食事(野菜・果物不足、塩蔵食品の過剰摂取等)

 日本人においては、「食塩や塩辛い食品のとりすぎ」、「野菜や果物をとらない」、「熱すぎる飲み物や食べ物をとること」が、日本人を対象としたコホート研究により、がんの原因になるということも明らかになっています。 
食塩を抑え、野菜と果物を食べ、熱い飲み物や食べ物は少し冷ましてからとる、という3つのポイントを守り、日本人に多い胃がんや、食道がん、食道炎のリスクを減らしましょう。
出典:国立がん研究センター がん情報サービス
   科学的根拠に基づくがん予防:[国立がん研究センター がん情報サービス 一般の方へ]

 多目的コホート研究からはさまざまな結果が出ていますが、特に食品や栄養素とがんの関連についてはまだよくわかっていない部分が大きいのが現状です。
 左側の表は、摂取頻度の高い群でがんやその他の疾患の発生リスクが高いという結果であったものを示したものです。食塩摂取については、男女とも高塩分食品(食塩を多く含む食品:いくら、塩辛、練りうになど)をよく食べる群で胃がんのリスクが高いという関連が示されました。
 右側の表は、摂取頻度の高い群でがんの発生リスクが低いという結果であったものを示してたものです。野菜・果物・ビタミン類などをよく食べる群でリスクが低いという結果には、胃がん(緑黄色など特定の色の野菜)、大腸がん(ビタミン B6)、肝がん(野菜、α-カロテン、β-カロテン)、心筋梗塞 ( 葉酸、ビタミン B6、ビタミン B1)、老人性白内障(ビタミンC)、食道がん(野菜 + 果物)、肝外胆管がん(野菜 + 果物)などがありました。一方、肺がん・前立腺がんや糖尿病についての分析では、予防効果を示すような結果は得られませんでした。
出典:国立がん研究センター 多目的コホート研究の成果(2016年12月)
    JPHCpamphlet201612-4.pdf

 また、人に対する食品等の発がん性については、様々な物質・要因(作用因子)が関わっているとされています。国際がん研究機関(International Agency for Research on Cancer, IARC)では、発がん状況の監視、発がん原因の特定、発がん性物質のメカニズムの解明、発がん制御を科学的に分析し、人に対する発がん性に関する様々な物質・要因(作用因子)を評価し、4段階に分類して評価を行っています。
出典:国際がん研究機関(IARC)の概要とIARC発がん性分類について:農林水産省

 特にがんに関しては、これをとっていれば確実に予防できるという単一の食品、栄養素は、現在のところわかっていません。また、とりすぎるとがんのリスクを上げる可能性がある食品中の成分、あるいは調理、保存の過程で生成される化学物質などがあります。したがって、そのようなリスクを分散させるためにも、偏りなくバランスの良い食事をとることが大切です。
出典:国立がん研究センター 多目的コホート研究の成果(2016年12月)
    JPHCpamphlet201612-4.pdf

4.身体活動

● 身体活動(運動不足)
 仕事や運動などで身体活動量が多い人ほど、がん全体の発生リスクが低くなるという報告があります。身体活動量が多い人では、がんだけでなく心疾患のリスクも低くなることから、普段の生活の中で無理のない範囲で可能なかぎり身体を動かす時間を増やしていきましょう。
出典:国立がん研究センター がん情報サービス
   科学的根拠に基づくがん予防:[国立がん研究センター がん情報サービス 一般の方へ]

出典:国立がん研究センター 多目的コホート研究の成果(2016年12月)
    JPHCpamphlet201612-4.pdf

【参考】
 サイト内リンク 身体活動・運動の推進 |厚生労働省
 健康日本21アクション支援システム Webサイト(旧:スマート・ライフ・プロジェクト)

5.適正体重の維持(肥満・やせ)

 国立がん研究センターの科学的根拠に基づくがん予防によると、がんの死亡リスクに関しては、男性では肥満よりも痩せている人の方が高くなりました。女性においては、がんによる死亡リスクはBMI値30.0~39.9(肥満)で25%高くなりました。特に閉経後は肥満が乳がんのリスクになることが報告されていますので、太りすぎに注意しましょう。また、多目的コホート研究からは、死亡やがんのリスクが低い、適正なBMIの範囲は、男性では23~27、女性は19~25であることが示されております。
出典:国立がん研究センター がん情報サービス
   科学的根拠に基づくがん予防:[国立がん研究センター がん情報サービス 一般の方へ]
   (令和7年3月4日アクセス)
   国立がん研究センター 多目的コホート研究の成果(2016年12月)
    JPHCpamphlet201612-4.pdf


出典:国立がん研究センター 多目的コホート研究の成果(2016年12月)より一部改変
    JPHCpamphlet201612-4.pdf

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がんに係る感染症対策について

 日本人のがんの原因として、女性で1番、男性でも2番目に多いのが「感染」です。下記の表のようなウイルス・細菌感染と、がんの発生との関連があるとされています。

 ○ ウイルスや細菌の感染が原因となるがんの種類

 いずれの場合も、感染したら必ずがんになるわけではありません。感染予防や、それぞれの感染の状況に応じた対応をとることで、がんを防ぐことにつながります。

地域の保健所や医療機関で、一度は肝炎ウイルスの検査を受けましょう。感染している場合は専門医に相談し、特にC型肝炎の場合は積極的に治療を受けましょう。

 機会があれば、ヘリコバクター・ピロリ(以下、「ピロリ菌」という。)の検査を受けましょう。定期的に胃がんの検診を受けるとともに、除菌については利益と不利益を考えた上で主治医と相談して決めましょう。

 肝炎ウイルスやピロリ菌に感染している場合は、肝細胞がんや胃がんに関係の深い生活習慣に注意しましょう。

 20歳以上の方は子宮頸がん検診を定期的に受けるようにしましょう。
 小学校6年~高校1年相当の女性はヒトパピローマウイルス(HPV)ワクチンの定期接種の対象ですので、ワクチンを接種した上で、20歳になったら子宮頸がん検診を定期的に受けるようにしましょう。

これらの感染について心配なことは、医療機関やがん相談支援センターに相談しましょう。
出典:国立がん研究センター がん情報サービス
   科学的根拠に基づくがん予防:[国立がん研究センター がん情報サービス 一般の方へ]

【参考】
 サイト内リンク 肝炎総合対策の推進|厚生労働省
 サイト内リンク ヒトパピローマウイルス感染症~子宮頸がん(子宮けいがん)とHPVワクチン~|厚生労働省
 サイト内リンク HTLV-1|厚生労働省

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国立がん研究センターによるがん予防に関する研究

国立がん研究センターの予防関連プロジェクトを通じて、地域住民、検診受診者、病院の患者さんなど、主に日本人を対象とした疫学研究を実施しています。この研究プロジェクトでは、発がん要因の究明や、がん予防法の開発を目的に様々な研究を行っています。

1.多目的コホート研究(JPHC Study)

・全国11保健所管内14万人の地域住民を対象とした、生活習慣とがんなど生活習慣病との関連についての長期追跡を行った調査研究。

2.次世代多目的コホート研究
・全国7県8地域内約11万人の地域住民を対象に、生活習慣・生活環境、遺伝的素因、その後の健康状態など様々な情報を収集しながら、がん予防など国民の健康の維持・増進に役立つエビデンスを得るための長期追跡を行った調査研究。

3.科学的根拠に基づくがんリスク評価とがん予防ガイドライン提言に関する研究
・科学的根拠に基づく日本人のがんリスクを総合的に評価し、指針として提言する研究。

4.日本人におけるがんの原因の寄与度推計(JAPAN PAF プロジェクト)
・現在及び将来における日本人のがんの主要な原因の寄与度を、最新のエビデンスを網羅して予測推計を行います。

5.日本分子疫学コンソーシアム(J-CGE
・国内の分子疫学研究の連携基盤を活用し、日本人のがんなどの生活習慣病の原因究明と個別化予防に資する研究を推進しています。

6.電子化医療情報を活用した疾患横断的コホート研究情報基盤整備事業(6NCコホート連携事業)
・健康寿命延伸の要因の解明に向けた6NC研究基盤の構築を推進する研究。健康寿命延伸のための疾患横断的な予防指針・提言の作成や、新たなエビデンスの創成に取り組んでいます。

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科学的根拠に根ざした予防ガイドライン  日本人のためのがん予防法(5+1)


 この5つの健康習慣を実践する人は、0または1つ実践する人に比べ、男性で43%、女性で37%がんになるリスクが低くなるという推計も示されています。1つでも多くの健康習慣を身につけていきましょう。

【参考】
 国立がん研究センター がん情報サービス
科学的根拠に基づくがん予防:[国立がん研究センター がん情報サービス 一般の方へ]

 「科学的根拠に基づくがん予防(A5小冊子)」 (2024年11月 第3版)……  WEB版/ 印刷版
 
 (中高生向け)
 「知っているから対策できるがん予防(B5小冊子)」 …  WEB版 / 印刷版    
     ⇒大人になる前の中高生の時期に知っておきたいがん予防の基礎知識

 「日本人のためのがん予防法(A2ポスター)」(2023年5月 第2版)……  WEB版 / 印刷版 

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参考情報

国際がん研究機構(IARC)と発がん性分類について

 国際がん研究機関(International Agency for Research on Cancer, IARC)においても、発がん状況の監視、発がん原因の特定、発がん性物質のメカニズムの解明、発がん制御を科学的に分析し、人に対する発がん性に関する様々な物質・要因(作用因子)を評価し、人に対する発がん性があるかどうかの「証拠の強さ」について、4段階に分類して評価を行っております。この評価は発がん性の強さや曝露量に基づく大きさを示すものではないため、日本人における曝露量に合わせたリスク評価と対策が重要となります。
出典:国際がん研究機関(IARC)の概要とIARC発がん性分類について:農林水産省

 

国立がん研究センター がん情報サービス

 がん対策基本法に基づいて、患者・家族・市民のためのがんの情報をつくり、届けるために、さまざまな情報を集めて、「確かな」「わかりやすい」「役に立つ」がんの情報を国民のみなさまに提供しています。
出典:国立がん研究センター がん情報サービス 

お問い合わせ先

健康・生活衛生局
がん・疾病対策課

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公開日:2025年04月09日

カテゴリー: 医療安全