No.25002 ウモレオウギガニによる食中毒(2024、沖縄県、麻痺性貝毒)沖縄県

[ 詳細報告 ]

分野名:自然毒等による食中毒
衛研名:沖縄県衛生環境研究所
報告者:衛生科学班 佐久川さつき 古謝あゆ子
事例終息:事例終息
事例発生日:2024/05/24
事例終息日:2024/08/01
発生地域:沖縄県八重山保健所管内
発生規模:
患者被害報告数:1名
死亡者数:0名
原因物質:麻痺性貝毒
キーワード:ウモレオウギガニ 麻痺性貝毒

概要:
 2024年5月24日に沖縄県八重山保健所管内で、県外からの旅行客がカニ汁を喫食後、舌、口唇、手にしびれの症状が出現し、救急車で病院に搬送されたと、宿泊施設から保健所に連絡があった。カニ汁は、患者が同日に自ら採取したカニ、貝を使い、宿泊施設内の調理機器で調理したものであった。カニは専門家によりウモレオオギガニと同定された。原因物質として麻痺性貝毒およびテトロドトキシンが疑われたため、カニ汁の残品を沖縄県衛生環境研究所でマウス毒性試験およびLC-MS/MSによる機器分析を用いて検査したところ、カニのゆで汁及び殻から、二枚貝の規制値以上の麻痺性貝毒が検出されたため、八重山保健所はカニを原因とする食中毒と断定した。
 今回の事例では、マウス毒性試験のみでは麻痺性貝毒とテトロドトキシンのどちらが原因物質であるか特定できず、テトロドトキシン分析のために機器分析を併用した。麻痺性貝毒については、法律による規制のため標準品の所持が制限されており、機器分析が困難となっている。

背景:
 ウモレオウギガニは、麻痺性貝毒サキシトキシン等やフグ毒テトロドトキシンを持つことが知られており、沖縄県内では過去、1987年と2012年に食中毒が発生している。

地研の対応:
 沖縄県衛生環境研究所にはカニの甲羅と殻、ゆで汁、貝が搬入された。原因物質として麻痺性貝毒およびテトロドトキシンが考えられたため、麻痺性貝毒のマウス毒性試験とテトロドトキシンの機器分析を行った。

行政の対応:
 保健所にて、管内の食品関連事業者へウモレオウギガニについてのアンケート調査および、カニ中毒に関する知識の周知を行った。さらに食品関連事業者に対し、ポスターによるウモレオウギガニの注意喚起を行った。

原因究明:
 貝およびカニの甲羅の外観による種の同定を、専門家に依頼した。沖縄県衛生環境研究所で、ゆで汁および殻を用いて麻痺性貝毒のマウス毒性試験を行った。また、カニのゆで汁および殻からよりわけた筋肉について、LC-MS/MSでテトロドトキシンの分析を行った。結果として、二枚貝の規制値を上回る濃度の麻痺性貝毒と、ごく微量のテトロドトキシンが検出された。

診断(定性・定量):
 貝:搬入された貝は4個あり、ツルレイシガイ1個、コオニコブシ2個、アマオブネガイ1個と同定された。いずれも過去に食中毒事例のあるものではない。
 カニ:ウモレオウギガニと同定された。
 ゆで汁:麻痺性貝毒25.6 MU/g、テトロドトキシン2.3 ng/g (0.01 MU/g)
 殻:麻痺性貝毒12.8 MU/g
 筋肉:テトロドトキシン5.4 ng/g (0.02 MU/g)
 カニ汁の残品から、麻痺性貝毒、テトロドトキシンともに検出されたが、麻痺性貝毒は二枚貝の規制値4 MU/gを上回り、テトロドトキシンはフグの規制値10 MU/gを大きく下回った。

地研間の連携:
 該当事項なし

国及び国研等との連携:
 該当事項なし

事例の教訓・反省:
 該当事項なし

現在の状況:
 該当事項なし

今後の課題:
 マウス毒性試験では麻痺性貝毒とテトロドトキシンのどちらが原因物質であるか特定できないため、機器分析の併用が必要である。テトロドトキシンについてはLC/MS/MSによる分析が可能であるが、麻痺性貝毒の機器分析の整備は今後の課題である。

問題点:
 麻痺性貝毒については、サキシトキシンが「化学兵器の禁止及び特定物質の規制等に関する法律」で特定物質に指定されており、所持が制限されているため、機器分析が困難である。

関連資料:
 沖縄県衛生環境研究所 衛環研ニュース51号に掲載予定

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