【保健所健康危機管理事例H23】
食中毒(クドア疑い)
〔作成者〕
富山市保健所
〔発生年月日〕
2011/9/29~2011/9/29
〔概要〕
1)平成23年9月28日午後9時30分頃から当該飲食店を仲間5人で利用し、9月29日午前0時50分を初発とし、同日午前5時30分までに下痢、嘔気、嘔吐等の食中毒様症状を呈していた。有症者の多くは比較的経過が速く、調査時点(9月29日午後1時)でほぼ軽快していた。
2)3)有症者以外に67人の利用があったがこの者のうちから、有症苦情の届出はなかった。患者5人に共通する行動は、当該飲食店の食事のみであり、発症以前のおおむね1週間に胃腸症状があった者はいなかった。また、それぞれの家族や職場の同僚等も、これまで体調不良等を訴える者はおらず、事件発生時に患者と同様の症状のものはいなかった。患者は軟便や水様性の下痢が主症状であり、嘔気、嘔吐を併発している者もいた。発症については、共通食を喫食してから平均4時間46分後に発症。患者5人の検便の結果、食中毒起因菌やウイルスは検出されなかった。飲食店従業員7人の検便の結果、1人から黄色ブドウ球菌が検出されたが、他に、食中毒起因菌やウイルスは検出されなかった。施設内のふき取り検査の結果、コールドテーブルの取っ手からセレウス菌が検出された。以上の理由により、発生原因は9月28日に当該飲食店で提供された食事であると断定した。そこで患者の喫食状況を統計学的に分析したが、有意性が認められる原因食品を特定できなかった。しかし、近年、一過性の下痢、嘔気及び嘔吐を主症状とし、既知の病因物質が検出されない、あるいは検出されても症状等と一致しない有症事例から高い確率で、ヒラメ等から粘液胞子虫(クドア)が検出されている。本件の患者は全員ヒラメを喫食しており(マグロ、カンパチは一部の患者は喫食していなかった。)発症状況及び微生物学的検査の結果からクドアを原因とする食中毒事例と類似していたため、ヒラメの刺身が疑わしい状況であったが、患者の便からクドアは検出されないこと、当日提供されたヒラメの残品がなく検査できなかったことから、病因物質の特定はできなかった。なお、従業者検便、ふき取り検査の結果検出された黄色ブドウ球菌、セレウス菌は、患者の症状等と一致しないため、病因物質ではないと判断した。
4)食品衛生法第6条違反により処分(営業停止3日)
市内の飲食店を利用者した者から、同行者全員が下痢、嘔吐等の胃腸症状を呈している旨の連絡があったもの
〔患者/死者/負傷者〕
有症者(患者)5名
〔症状/被害状況〕
下痢、嘔気、嘔吐、腹痛