東電福島第一原発緊急作業従事者に対する疫学的研究のあり方についてとりまとめました
厚生労働省では、このたび、「東電福島第一原発緊急作業従事者に対する疫学的研究のあり方に関する専門家検討会」(座長:大久保利晃 公益財団法人放射線影響研究所 理事長)の報告書を取りまとめましたので、公表します。
東京電力福島第一原子力発電所における緊急作業については、平成23年3月14日から同年12月16日まで、緊急被ばく線量限度を100ミリシーベルトから250ミリシーベルトに引き上げていました。この間、約2万人の労働者が作業に従事し、174人が通常作業の5年間の線量限度である100ミリシーベルトを超えました。これら緊急作業従事者に対しては、放射線による健康障害の発生が懸念されることから、大臣指針※に基づき、厚生労働省に被ばく線量などを蓄積する長期健康管理データベースを構築し、長期的な健康管理を行っています。
この検討会では、緊急作業従事者を対象とした放射線の健康影響に関する疫学的研究の研究計画のあり方について検討するため、本年2月から検討を行ってきました。 検討の結果、疫学研究の研究計画を策定するにあたって留意すべき事項として提言された主な項目は、以下のとおりです。
報告書の主な提言内容
1 対象・規模
緊急作業従事者2万人全員を調査対象集団とし、調査期間は、調査対象者の生涯
2 研究対象となるばく露因子
(1) 累積被ばく線量による健康影響を調べることが基本。その上で、「短期間に被ばくをしたこと」や、「臓器別の被ばく線量」による健康影響を調べる場合は、対象集団の中に小集団を設定して調査
(2) 心理的影響についても調査
3 研究手法
(1) 前向きコホート調査(調査対象集団を生涯にわたり追跡する研究手法)
(2) 必要に応じ、精密検査のための医療機関の受診、保健指導の勧奨などを実施
(3) 統計上有意差のあった結果のみならず、有意差がなかった解析結果についても公表
4 集団の追跡・維持
長期健康管理データベースの運営の一環として、厚生労働省が実施している現況調査を活用し、調査対象集団を追跡・維持
※東京電力福島第一原子力発電所における緊急作業従事者等の健康の増進のための指針(平成23年10月11日付け指針公示第5号)
厚生労働省では、この報告書を受け、今年度から調査対象集団の1割(約2,000人)を対象にしたベースライン研究を実施するなど、平成27年度以降の本格的な研究に向けた準備を進めます。
(別添1)報告書概要(PDF:19KB)
(別添2)報告書(PDF:170KB)
その他参考資料・詳細については、下記のページをご覧ください。
https://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/0000047387.html
(参照先)
厚生労働省労