【管内情報】 焼肉店で発生した腸管出血性大腸菌O157食中毒事例について(有症者29名、無症状病原体保有者4名)

○端緒
平成25年10月3日、川崎市内の医療機関から管轄の保健所にEHEC O157 (VT2 ) 感染症の届出が2件あった。さらに、市内の他の医療機関から10月7日と8日にO157感染症の届出が各1件あった。保健所による調査の結果、いずれも同一の焼肉店に関連した発症例であることが判明した。

 

○原因
初期の検査では、喫食者3名、従事者3名の便検体、回収した食肉・ホルモン1検体、カルビ肉6検体よりO157が分離された。分離した菌株については、IS-Printing法による分子疫学解析を実施し、パルスフィールド・ゲル電気泳動法にて確認した。喫食内容と発症の状況を解析した結果、O157が分離されたカルビ肉を含め、肉類の喫食には有意差を認めなかったが、サラダ鉢の喫食でオッズ比が高く有意差を認め、肉以外の食品への交差汚染が原因となった可能性も示唆された。また、入荷日、仕入先が異なっていたカルビ肉から分離された菌株の遺伝子パターンが同一であったことから、店内での肉の裁断等、衛生管理に問題があったことも原因のひとつと考えられた。保健所は当該焼肉店を原因とするO157による食中毒と断定し、10月8日より当該店を営業禁止とした。

 

○症状、被害状況
患者の主な症状は、血便、下痢、腹痛で、最終的には有症者29名、無症状病原体保有者4名が確認され、うち12名が入院を要した。2名が溶血性尿毒症症候群を合併したが、入院加療ののち回復した。

○開始年月日 平成25年10月3日
○終息年月日 平成25年10月21日(営業禁止解除)
○発生施設・場所 川崎市内焼肉店

公開日:2014年08月28日

カテゴリー: 食品安全