No.520 日本で初の散発下痢症患者よりVTEC O157:H7が発見される

[ 詳細報告 ]
分野名:細菌性感染症
登録日:2016/03/17
最終更新日:2016/05/26
衛研名:川崎市衛生研究所
発生地域:川崎市 幸区
事例発生日:1984年6月
事例終息日:
発生規模:
患者被害報告数:1名
死亡者数:0名
原因物質:Verotoxin-producing Escherichia coli O157:H7 (VTEC)
キーワード:VTEC、O157:H7、VT、SLT、病原大腸菌O157:H7、腸管出血性大腸菌O157:H7、ベロ毒素、志賀毒素、散発下痢症患者

背景:
1982年、アメリカのオレゴン州とミシガン州で、牛肉パティ入りハンバーガーを原因とする血性下痢を伴う出血性大腸炎を主徴とする集団食中毒事件が発生し、その原因菌が出血性大腸菌O157:H7であり、この菌は大腸菌としては、非常に希な血清型であった。

概要:
1984年6月、本市内幸区在住の58歳の男性が悪心+、嘔吐+、腹痛+、発熱-、粘液性下痢7~9/日で開業医院を受診し、当所にて病原菌検索の結果、出血性大腸菌O157:H7を検出し、ベロ細胞を用いた毒素検定試験でベロ毒素産生性を確認した。

原因究明:
主治医と迅速かつ綿密に連絡を取り、予後を十分に注意し、出血性大腸炎や溶血性尿毒症症候群(HUS)に進行しなかった。

診断:

地研の対応:
主治医と迅速かつ綿密に連絡を取り、予後を十分に注意し、出血性大腸炎や溶血性尿毒症症候群(HUS)に進行しなかった。

行政の対応:
特になし

地研間の連携:
特になし

国及び国研等との連携:
国立予防衛生研究所に報告し、本菌であることを確認してもらった。

事例の教訓・反省:
我が国にも本菌が存在することが明らかになり、またO26,O111,O128などもベロ毒素を産生する事を種々報告したが、1990年のS幼稚園の死亡者がでるまで、散発下痢症者の事例は省みられなかったことは非常に残念なことであった。

現在の状況:
本市では、現在も散発下痢症患者の原因菌検索を続行し、情報を迅速に開業医に還元し
ている。

今後の課題:

問題点:

関連資料: