[ 詳細報告 ]
分野名:自然毒等による食中毒
登録日:2016/03/17
最終更新日:2016/05/26
衛研名:沖縄県衛生環境研究所
発生地域:沖縄県全域及び熱帯、亜熱帯サンゴ礁周辺地域
事例発生日:1974年
事例終息日:1997年
発生規模:
患者被害報告数:推定患者数:128名(24年間, 30件)
死亡者数:0名
原因物質:シガトキシンその他
キーワード:シガテラ、ドライアイスセンセーション、バラフエダイ、鞭毛藻、Gambierdiscus toxicus、毒性試験
背景:
シガテラ、ドライアイスセンセーション、バラフエダイ、鞭毛藻、Gambierdiscus toxicus、毒性試験
概要:
1965年~1972年の琉球政府食中毒統計に数件の自然毒による魚類食中毒の記載があるが、明記された毒性試験の記載はなく、症状等から原因食品、原因物質物質を推定したと思われる。
1974年5月沖縄県具志川市でイトヒキフエダイによる食中毒が発生し、50人中25人が中毒した。症状は典型的なシガテラ毒中毒症状を示し、沖縄県公害衛生研究所がその同定、確認を実施した。実験動物として猫を用いて橋本らの方法に従って中毒再現実験の結果、同食中毒はシガトキシンによる食中毒と断定した。
その後、毎年1~2件のシガテラ中毒が発生し、猫を使った毒性試験で確認していたが、同試験は定性のみで定量は困難であった。
1988年から安元らの方法によりマウスの腹腔内注射法により、シガトキシンの定量が可能となり、その後、中毒発生時には同法による定量を実施している。
また、1990年から1992年にかけて沖縄県衛生環境研究所は県全域を対象としてバラフエダイを主として4種類のシガテラ毒魚の実態調査を実施した。魚種によりややばらつきはあるものの、肝臓の毒化率は約30~80%で、筋肉の毒化率は16~30%であった。
一方、採取海域別にみても、毒化する海域、毒化しない海域は明確には区分できない。
原因究明:
予算措置を確保し、シガテラ毒魚の実態調査を推進した。
診断:
地研の対応:
前述
行政の対応:
予算措置を確保し、シガテラ毒魚の実態調査を推進した。
地研間の連携:
他県にあまり例がなく、ほとんど連携はなかった。
国及び国研等との連携:
東京大学や東北大学に試験法やその他の情報提供等について指導をいただいた。
事例の教訓・反省:
過去沖縄県内で中毒の報告のある魚種は十数種と多く、また、同一魚種でも個体差、地域差が著しく、中毒魚の予測が困難で、対策も立てにくい。
シガテラ毒魚の実態調査を実施し、実態はおおよそ把握できたが、有効な予防対策には至らなかった。
現在の状況:
沖縄県の食中毒統計によると1993年から1997年の5年間のシガテラ中毒は10件32名の患者発生があった。20年前から年間の発生状況は増減はなく、散発的な発生は続いている。
今後の課題:
1) 小売店や採取現場で可能な毒魚スクリーニング法の開発
2) シガテラ毒一次生産鞭毛藻の発生海域の密度分布調査
3) 効果的な治療法の確立等が望まれる。
問題点:
関連資料:
1) 金城喜榮他;シガテラ毒魚による食中毒の検索について、沖縄県公害衛生研究所報、8、84(1974)
2) 橋本芳郎;魚介類の毒、東京大学出版、pp.94(1977)
3) 安元健;シガテラ、医学のあゆみ、112(13)、886(1980)
4) 城間博正他;魚介類自然毒による食中毒(二例)、沖縄県公害衛生研究所報、22、88(1988)
5) 城間博正他;沖縄県におけるシガテラ毒に関する調査研究(第1報)、沖縄県公害衛生研究所報、26、61(1992)