No.893 ゴルフ場農薬

[ 詳細報告 ]
分野名:その他
登録日:2016/03/11
最終更新日:2016/05/27
衛研名:大阪府立公衆衛生研究所
発生地域:全国レベル
事例発生日:1989年頃
事例終息日:
発生規模:
患者被害報告数:
死亡者数:
原因物質:ゴルフ場で使用されている農薬、肥料等
キーワード:農薬、ゴルフ場、殺虫剤、除草剤、殺菌剤、肥料、リン・窒素肥料

背景:
経済の高度成長、生活の豊かさを反映して、1989年「森林の保健機能の増進に関する特別処置法」の成立により、全国レベルでゴルフ場の設置が多くなった。ゴルフ場の農薬汚染が全国的に問題視されるようになったきっかけは、奈良県山添村の住民の反対運動から(1990.3、朝日新聞)簡易水道の原水や給水からオキサジアゾンが検出されたこと、ゴルフ場排水口からの赤水、栄養源の窒素・リンによる富栄養化による調整池でのアオコが発生したことがきっかけ。環境破壊につながるという恐れがでてきたが、その使用量は、水田等の一般農薬のほんの一部に過ぎない量である。しかし、遊興での使用のために、やり玉に上がった背景がある。

概要:
ゴルフ場で使用する農薬の総農薬使用量のわずか5%程度であるが、国でも、ゴルフ農薬の規制が始まり、性状、排水基準値が決められた。大阪府は他府県を集水域に持つ河川を水道水源としているが、自己による使用規制や制御が難しいので、いち早く、府内での使用量と共に、調査方法・それらの分析方法を検討し、マニュアルを作製した。同時に、府内で使用される規制以外の農薬について、農薬使用量のリストと分析方法を作製し、横出しの指針値を作製した。

原因究明:
赤水に対しては、地表面での鉄バクテリア内の鉄の酸化によるもの。
排水の水質悪化は窒素・リン肥料の過多によるもの。

診断:

地研の対応:
分析方法を検討し、マニュアルを作製した。同時に、環境調査を実施した。

行政の対応:
国は、まず、対象農薬の決定、統一試験方法を決定した。都道府県は、ゴルフ場で使用される農薬の使用計画、水質監視、各都道府県での対象農薬以外の農薬の指定及び分析方法を決定した。

地研間の連携:
標準品の融通、国の試験方法の間違いについて連絡した。未だ市販の標準品が出ていない状況の中で手持ちの標準品の交換を行った。

国及び国研等との連携:
国の試験方法の間違いについて報告した。

事例の教訓・反省:
調査結果は、懸念されたような状況ではなかったが、農薬類の無駄な散布がみられた。散布を最小限にするよう指導できた。
ゴルフ場以外の一般農薬による汚染の方が強い環境もあった。

現在の状況:
項目数の増加、上水道、排水、公共水域でそれぞれ調査が継続されている。初期には、検出されたが、現在の検出率は低い。

今後の課題:
新規農薬がでてきているが、対応が遅れがち。

問題点:

関連資料:
環境庁、大阪府で毎年、使用量、検出率等のまとめを発表している。