No.916 アクリルアミド汚染飲料水摂取による中毒

[ 詳細報告 ]
分野名:化学物質による食品汚染
登録日:2016/03/11
最終更新日:2016/05/27
衛研名:福岡県保健環境研究所
発生地域:福岡県糟屋郡新宮町
事例発生日:1974年
事例終息日:
発生規模:
患者被害報告数:不明
死亡者数:
原因物質:アクリルアミド
キーワード:アクリルアミド,地盤強化剤,井戸水,神経症状、GC/MS

背景:
1974年頃下水工事に地盤強化剤として,ケミカルグラウト施工にアクリルアミドモノマ-が使用されていた。

概要:
1974年3月中旬,福岡県糟屋郡新宮町において,下水工事に地盤強化剤として,使用されたアクリルアミドモノマ-が井戸水を汚染した。これを飲料水として摂取したために,特異な脳神経症状を呈して発症した亜急性中毒患者の発生をみた。患者等は,3月初め頃から汚染が始まった,かなり高濃度アクリルアミドモノマ-を含む井水を飲用し,10~15日間程度の飲用期間を経過して,その累積総摂取量が200mg/kg前後に達した3月中旬に至って,亜急性的に発症したものと推定された。

原因究明:
アクリルアミドモノマ-によって汚染した井戸水を飲料水として摂取したために,特異な脳神経症状を呈し,これが原因と推定された。

診断:

地研の対応:
行政の依頼により,井水中のアクリルアミドモノマ-をGC/MSによって定性及び定量を行った。

行政の対応:

地研間の連携:

国及び国研等との連携:

事例の教訓・反省:
化学物質による地下水汚染には十分注意しなければならない。

現在の状況:
現在,地盤強化剤としての使用は規制されている。

今後の課題:
現在,水質浄化のための沈降剤などに用いられているので,この点での監視が必要である。

問題点:

関連資料:
1)小河章、芥野岑男、高橋克己:家兎におけるアクリルアミドの血中及び尿中濃度の推移、福岡県衛生公害センター年報、第5号、71-72(1978)