[ 詳細報告 ]
分野名:その他
登録日:2016/03/11
最終更新日:2016/05/27
衛研名:東京都立衛生研究所
発生地域:東京都杉並区住民
事例発生日:1970年7月
事例終息日:
発生規模:
患者被害報告数:6,000名
死亡者数:0名
原因物質:大気中オキシダント
キーワード:大気汚染、オキシダント、集団検診、人体影響、光化学スモッグ注意報
背景:
昭和40年代の高度経済成長の時代は、工業の発達、自動車の普及などによる大気汚染が進行し、光化学スモッグによる被害が報告され、住民の大気汚染に対する関心と健康被害への不安が急速に高まっていた。
概要:
1970年(昭和45年)7月、東京都杉並区を中心に約6,000人が目やのどの痛みを感じ、杉並区の東京立正高校では生徒40人以上が中毒症状で倒れた。この原因は光化学スモッグと硫酸ミストによる複合汚染と考えられた。その後三鷹、国立市、埼玉県川口市にも発生し、1,200人以上が被害を受けている。
原因究明:
発生地域の住民の自覚症状や検診による疫学調査を実施しオキシダントの影響について検討した。人への健康影響調査としてオキシダントを発生させた暴露チャンバーでの目の刺激性などの調査のほか、オゾンによる溶血作用、オゾンによる液性免疫機構への影響、オキシダントによる涙中のリゾチームへの影響などの調査研究を実施した。
診断:
地研の対応:
被害を受けた地区での疫学調査及び人への健康影響に関する基礎研究を実施。
行政の対応:
厚生省、東京都、千葉、埼玉、神奈川県の公害担当者による光化学スモッグ対策について協議し、オキシダント観測体制の整備などを決め実施した。東京都では7月27日に光化学スモッグ注意報制度を発足させた。その内容はオキシダント0.15ppm以上を注意報、0.3ppm以上を警報としている。
地研間の連携:
国及び国研等との連携:
事例の教訓・反省:
現在の状況:
現在でも光化学スモッグ注意報制度により,都内の観測地点で一定のオキシダント濃度以上により注意報または警報を出し対応している。
今後の課題:
問題点:
関連資料:
1)調査研究報告
(1)環境汚染(いわゆる公害)に関する調査・研究その1 1973.3 都立衛生研究所
(2)環境汚染(いわゆる公害)に関する調査・研究その2 1975.7 都立衛生研究所
2)都立衛生研究所研究年報
(1)オキシダントと他の大気汚染物質および気象要素との相関性について1970溝口 他
(2)光化学スモッグによる眼刺激作用の実験的研究1971 溝口 他
(3)微小位置差によるオキシダント濃度差の比較研究 1972 溝口 他
(4)オゾンによるショウジョウバエの遺伝的影響について 1972 千種 他
(5)粘菌のオゾン反応 1972 狩野
(6)光化学スモッグによる眼刺激作用の実験的研究(2) 1975 牧野 他
(7)都内大気中の炭化水素および塩素系有機溶剤について 1975 溝口 他
(8)光化学スモッグによる自覚症状の変動-素因との関連について-1976 溝口
(9)光化学スモッグの涙液リゾチーム,およびpHへの影響 1976 福田 他
3)その他の雑誌への発表
(1)オキシダントと各因子との相関性、 大気汚染研究、 6(1)、112(1971)
(2)オゾンによる液性免疫機構への影響、 瀬戸 博,医学のあゆみ, 94、250(1975)
(3)光化学スモッグによる自覚症調査について, 牧野国義他, 日本公衆衛生雑誌、22(8),440 (1975)
(4)光化学スモッグの眼に及ぼす影響について,溝口 勲他,臨床眼科, 30(4),407(1976)
(5)埼玉県における光化学スモッグ被害届け出と環境条件との関連,溝口勲 他,大気汚染研究,11(6) 41, (1977)