No.1070 急性C型肝炎集積的発生事例(埼玉県)

[ 概要報告 ]
分野:ウイルス性感染症

衛研名:埼玉県衛生研究所

時期年月:2002/04/01

地域:埼玉県

概要:
県内医療機関から急性C型肝炎患者8名の報告があり、管轄保健所は急性C型肝炎の集積発生を疑い、衛生研究所を含む外部専門家による調査委員会を立ち上げ、感染原因究明と蔓延防止を図った。初期の調査において、患者の多くが特定の別の医療機関を受診していることが判明したため、平成12年7月から平成14年4月までに同医療機関を受診した者を対象にHCV抗体検査を緊急に実施した(受検者数1765人中抗体陽性者30人:8月19日時点)。抗体検査及び地元医師会等を通じた積極的な呼びかけの結果、最終的な患者は14人となり、その中12人のHCV遺伝子解析を実施したところ、そのウイルス学的相同性から、2人・8人・2人の3群に分けられた。ウイルス学的検索と並行して行われた、観察及び聞き取り調査から当該医療機関における感染症対策上の問題点が指摘し得た。解析疫学から急性C型肝炎発症と当該医療機関での観血的医療行為との関連が認められた。RNAの相同性が認められた3群のうち1群は群間すべての者の発症あるいは感染を説明するのに矛盾のない疫学的関連が認められた(同一日の皮下注射、点滴、静脈注射)。