[ 詳細報告 ]
分野名:化学物質による食品汚染
登録日:2016/03/11
最終更新日:2016/05/27
衛研名:大阪府立公衆衛生研究所
発生地域:大阪府高槻市
事例発生日:2004年5月28日
事例終息日:
発生規模:
患者被害報告数:1名
死亡者数:0名
原因物質:ヒスタミン
キーワード:食中毒、ヒスタミン、家庭、うるめの丸干し
背景:
背 景
ヒスタミンによる食中毒は、遊離のヒスチジン含量の高い赤味の魚類やサンマのみりん干し、めざしの干物などの魚介加工品にモルガネラ(Morganella)などのヒスチジン脱炭酸酵素を有する細菌が増殖したときに発生する。症状は摂取後30~60分で起こり、眼、口に熱を感じ、次いで顔面紅潮、じんま疹を発生させる。さらに頭痛、悪寒、発熱、嘔吐、下痢を伴うことがある。たとえヒスタミン量が100mg/100g程度であっても食中毒を起こすことがある(1)。
概要:
平成16年5月27日夕方、スーパーにてうるめの丸干しを購入し、翌日の昼食に、うるめ、おにぎり(自家製)、煮物(自家製)を喫食。約40分後全身発疹、顔がはれ、呼吸困難を呈し、救急で市内の病院に搬送された。この時の医師の診断は、食物アレルギーであった。食中毒と思い高槻保健所に連絡した。一方、頭と内臓を取り除いて喫食した夫には上記の症状がなかった。保健所では、届出者に対し、当該魚介半乾製品に多種の食品添加物が使用されておらず、また、その食品添加物はアレルギー様症状をほとんど引き起こさないことを説明。また、当該品の残品があるのでヒスタミンの検査およびスーパーの調査を実施する旨を伝えた。
原因究明:
高槻保健所依頼品1検体、同保健所喫食残品1検体(参考品)および当該品と同等の収去品5検体(枚方保健所1検体、大阪府中央卸売市場4検体)が大阪府立公衆衛生研究所に搬入された。
医師の診断内容および患者の症状からヒスタミンによる食中毒が疑われた。そこで、これら7検体についてヒスタミンの確認を行った。
方法は、一定量の試料に除タンパクと抽出の目的で、5%トリクロロ酢酸を加えホモジナイズをした後、イオン交換樹脂カラム[Dowex 50W X8(H+)]で精製を行い試験溶液とした。次にこの溶液およびヒスタミンの標準品の一定量を分取し、蛍光試薬を加えラベル化した後、HPLC分析を行った(2)。
その結果、試料100gあたり、高槻保健所依頼品101mg、同保健所喫食残品256mg、枚方保健所66mg、大阪府中央卸売市場からの4検体12mg~55mgのヒスタミンが検出された。一般にヒスタミン含量が100mg/100g以上でヒスタミンによる食中毒をおこすことがあると言われていることから、うるめいわしを喫食して発症した届け出者は、ヒスタミンによる食中毒を呈したものと推察された。
診断:
地研の対応:
行政の対応:
地研間の連携:
国及び国研等との連携:
事例の教訓・反省:
現在の状況:
今後の課題:
問題点:
関連資料:
(1)衛生試験法・注解2000 金原出版、pp.172-173(2000)
(2)大阪府立公衆衛生研究所・検査実施標準作業書、文書番号21-008