[ 詳細報告 ]
分野名:原虫・寄生虫・衛生動物
登録日:2016/03/11
最終更新日:2016/05/27
衛研名:大阪府立公衆衛生研究所
発生地域:大阪府
事例発生日:1997年4月
事例終息日:2004年9月
発生規模:
患者被害報告数:0名
死亡者数:0名
原因物質:クリプトスポリジウム
キーワード:原虫、クリプトスポリジウム、浄水場、水道原水
背景:
水道水を原因としたクリプトスポリジウム集団感染は1993年の米国ウイスコンシン州ミルウオーキー市の事例(発症約40万人、死者約400人)をはじめ欧米諸国等でたびたび起こっている。我が国でも1996年、埼玉県越生町の水道で約9,000人の患者を出す集団感染が起こり、それを受けて厚生省(現厚生労働省)は、「水道におけるクリプトスポリジウム暫定対策指針」を策定し、ろ過池出口での濁度を0.1度以下に維持するように指導するなど対策を講じている。
当所では、1997年4月より府内の水道事業体の依頼を受け水道原水中のクリプトスポリジウムの検査を行っている。
概要:
1997年4月から2004年9月まで約800件の水道原水の検査を行い、うち17件から10リットル中1~10個のクリプトスポリジウムのオーシストを検出した。安全性確認のため、当所または保健所で浄水ならびに原水の再検査を行った結果、原水試料からは2003年および2004年に1件ずつ、10リットル中1個のオーシストが再検出されたが、浄水試料からはいずれもクリプトスポリジウムのオーシストは検出されなかった。また、オーシストを検出した17件全てにおいて周辺住民にクリプトスポリジウム症の患者の報告はなく、浄水からは検出されていないことから給水の安全性に問題はないと判断し、後述の1例を除き、取水または給水停止などの措置は講じられていない。
取水停止を行った例は、府内の簡易水道の事例である。2004年6月28日に採取された原水より10リットル中10個と当所で検査した中で最多数のオーシストが検出された。その後、同年7月1日の保健所による浄水および原水の再調査では不検出であった。しかし、浄水処理方法が緩速ろ過で連続測定による濁度管理ではないこと、検出されたオーシストが比較的多量であることの理由から、行政指導により、当該簡易水道では取水を一時的に停止するとともに、他の簡易水道から応急送水を行う措置がとられた。また、ろ床に捕捉されているであろうクリプトスポリジウムを死滅させるため、ろ過池水を排水し、ろ床を乾燥させる指導もあわせて行われた。当所では、ろ過池砂層中のクリプトスポリジウムのオーシストの捕捉状況を確認するために砂層を断面的に採取し、オーシストの検出を試みた。しかし、いずれの砂層試料からも検出されず、ろ過池砂層の捕捉状況は確認できなかった。
原因究明:
今までの検出事例は、オーシストの数が少なく一過性であり、原因の究明には至っていない。
診断:
地研の対応:
取水停止を行った例は、府内の簡易水道の事例である。2004年6月28日に採取された原水より10リットル中10個と当所で検査した中で最多数のオーシストが検出された。その後、同年7月1日の保健所による浄水および原水の再調査では不検出であった。しかし、浄水処理方法が緩速ろ過で連続測定による濁度管理ではないこと、検出されたオーシストが比較的多量であることの理由から、行政指導により、当該簡易水道では取水を一時的に停止するとともに、他の簡易水道から応急送水を行う措置がとられた。また、ろ床に捕捉されているであろうクリプトスポリジウムを死滅させるため、ろ過池水を排水し、ろ床を乾燥させる指導もあわせて行われた。当所では、ろ過池砂層中のクリプトスポリジウムのオーシストの捕捉状況を確認するために砂層を断面的に採取し、オーシストの検出を試みた。しかし、いずれの砂層試料からも検出されず、ろ過池砂層の捕捉状況は確認できなかった。
行政の対応:
地研間の連携:
国及び国研等との連携:
事例の教訓・反省:
現在の状況:
当所では、引き続き、水道事業体からのクリプトスポリジウムの依頼検査を行っている。また、今後は、検出した少数のオーシストから、汚染源の究明につながる情報を得たりヒトへの感染性の有無を判定することができるような検査法(PCR-RFLP等)を行えるようにする必要がある。
今後の課題:
問題点:
関連資料: