No.1165 仕出し弁当によるウエルシュ菌食中毒事例

[ 詳細報告 ]
分野名:細菌性食中毒
登録日:2016/03/11
最終更新日:2016/05/27
衛研名:千葉市環境保健研究所
発生地域:千葉市
事例発生日:2004年8月16日
事例終息日:2004年8月18日
発生規模:
患者被害報告数:33名
死亡者数:0名
原因物質:ウエルシュ菌(TW24型)
キーワード:ウエルシュ菌、食中毒、仕出し弁当、エンテロトキシン、TW24型

背景:

概要:
2004年8月18日午後2時30頃、千葉市内のC病院より、下痢・腹痛等の食中毒様症状を訴える5名の病院職員がいる旨の連絡があった。調査を行った結果、8月17日午後3時頃より職員32名が下痢・腹痛・吐気等の食中毒様症状を呈していることが判明した。発症者に共通した食事は、千葉市内の居酒屋Aが提供した仕出し弁当に限られていたことから、当施設の弁当を原因とする食中毒と推定された。主な症状は、下痢(100%)、腹痛(66.7%)、吐気(36.4%)、嘔吐(15.2%)、発熱(15.2%)等で、潜伏時間は、平均約12時間であった。検査を実施した喫食者35名のうち、25名からエンテロトキシン(+)ウエルシュ菌が検出され、いずれも血清型はTW24型で、Hobbs型別不能であった。
本事例は、仕出し弁当を原因とするTW24型 エンテロトキシン(+)ウエルシュ菌による食中毒事例である。

原因究明:
原因菌検索の結果、検査を実施した喫食者35名(発症者28名、非発症者7名)のうち、25名(発症者23名、非発症者2名)の糞便からウエルシュ菌が検出され、それ以外の病原菌は検出されなかった。検出されたウエルシュ菌について、PCR法によりエンテロトキシン毒素遺伝子を確認し、RPLA法により毒素産生を確認した。血清型はTW24型、Hobbs型別不能であった。なお、調理従事者、食材及びふきとりから当該菌は検出されなかった。以上の検査結果及び疫学調査により、本事例は、ウエルシュ菌による食中毒であることが断定された。

診断:

地研の対応:
原因施設と考えられた居酒屋A施設内のふきとり7検体、食品(参考品及び原材料)6検体、喫食者便35検体、調理従事者便2検体について食中毒原因菌検索を実施した。分離されたウェルシュ菌について、エンテロトキシン検査及び血清型別(Hobbs)を行った。

行政の対応:
原因施設に対し、3日間の食品営業停止処分を行った。また、食品従事者に対しては、改善指導を実施し、営業者の報告書提出により改善状況の確認を行った。

地研間の連携:
分離されたエンテロトキシ(+)ウエルシュ菌株の血清型別は、東京都健康安全研究センタ-に依頼し、TW24型であることが確認された。

国及び国研等との連携:

事例の教訓・反省:
今回の事例は、検食が保存されておらず、食材の検索を十分に行うことができなかったことから、原因食材の特定には至らなかった。原因食材を特定し、発生要因を明らかにするには、適切な食材を対象とした検査が不可欠であり、その必要性を改めて認識した。一方、再発防止には、調理従事者に対する衛生指導の徹底と予防対策の強化を図ることが重要である。

現在の状況:

今後の課題:

問題点:

関連資料: