[ 詳細報告 ]
分野名:細菌性食中毒
登録日:2016/03/08
最終更新日:2016/05/27
衛研名:東京都健康安全研究センター
発生地域:東京都・横浜市・川崎市
事例発生日:2005年5月25日
事例終息日:2005年5月27日
発生規模:6名
患者被害報告数:4名(うち川崎市3名)
死亡者数:0名
原因物質:牛レバ刺し
キーワード:腸管出血性大腸菌O157,牛レバ刺し,焼肉店,PFGEパターン
背景:
腸管出血性大腸菌O157による食中毒・集団感染は毎年報告されており,相変わらず減少していない。O157に汚染された食品が広域に流通していた場合,被害は自治体をまたがって広域に渡って発生する。被害の拡大を未然に防止するためには、近隣自治体との密な情報交換が重要である。
概要:
5月21日および22日に同じ営業者の焼肉チェーン店3店(都内2店,横浜市1店)で,牛レバ刺し,焼き鳥等を喫食した3組6名の内,4名(都内1名,川崎市3名)が発症し,腸管出血性大腸菌O157:H7(VT1+VT2)が検出された。さらにこれら患者の内,3組3名由来株のPFGEパターンが一致した。同チェーン店では関連施設で下処理した加熱加工用の牛生レバーを牛レバ刺しとして提供しており,患者が喫食したレバ刺しは同一日に下処理したものと推定された。
原因究明:
腸管出血性大腸菌O157が検出された3名は別のグループでそれぞれ面識もなく,共通事項は同一日に下処理されたと推定される「牛レバ刺し」の喫食のみであった。3名から検出されたO157菌株の毒素型,PFGEパターンおよび薬剤感受性試験の結果が一致したため,「牛レバ刺し」を原因と推定した。
診断:
当センターでは,患者糞便4検体,関連施設従業員糞便12検体,参考食品8検体,拭き取り検体39検体について検査を行った結果,患者糞便1検体から腸管出血性大腸菌O157(VT1+VT2)が検出された。川崎市と分離菌株を交換し,PFGEパターンを比較した結果,患者由来株のPFGEパターンは一致した。
地研の対応:
患者糞便,関連施設の従業員糞便,拭き取り,参考食品について検査を行った。
神奈川県と患者から分離されたO157菌株を交換し,患者由来株が遺伝子学的に同一であるか否かをPFGEパターンで比較した。その際,PFGE画像を相互に電送することでパターンの比較を迅速に行った。
行政の対応:
原因施設に対して,営業停止6日間(他に営業自粛1日)及び取扱改善命令の処分が行われた。
地研間の連携:
情報交換および菌株交換を行った。
国及び国研等との連携:
特になし
事例の教訓・反省:
迅速に食中毒原因菌を特定し,感染拡大を防ぐためには,他自治体と密な情報交換や,場合によっては菌株の交換が必要である。
現在の状況:
今後の課題:
問題点:
関連資料: