[ 詳細報告 ]
分野名:化学物質による食品汚染
登録日:2016/03/08
最終更新日:2016/05/27
衛研名:大阪府立公衆衛生研究所
発生地域:阪府、京都府、兵庫県
事例発生日:2007年5月22日
事例終息日:
発生規模:不明
患者被害報告数:不明
死亡者数:0名
原因物質:パーフルオロオクタンスルホン酸(PFOS)、パーフルオロオクタン酸(PFOA)
キーワード:有機フッ素化合物、PFOS、PFOA、水道水、河川水、水質汚染、新聞報道
背景:
2007年5月22日に京阪神地域(大阪・京都・兵庫)において有機フッ素化合物のひとつであるパーフルオロオクタン酸(PFOA)によって河川水や水道水等が汚染されていることが新聞等で報道された。有機フッ素化合物のパーフルオロオクタンスルホン酸(PFOS)やPFOAは、環境中で広範囲に残留していることが既に報告されており、新規汚染物質として国際的にも関心が持たれていた化合物である。
概要:
有機フッ素化合物によって京阪神地域の河川水や水道水が汚染されているという新聞報道の反響で、大阪府内外の市町村行政や一般市民から、有機フッ素化合物とは何かという問い合わせや、水道水の安全性について多くの相談があった。また、大阪府内の水道事業体から、水道水中のPFOAおよびPFOSの検査依頼も多数寄せられた。当所では3年前からこれらの有機フッ素化合物の調査研究をすでに行っていたので、迅速に相談・依頼検査に対応することができた。また、2006年度に大阪府健康福祉部環境衛生課との連携事業「平成18年度大阪府水道水中微量有機物質調査」で、大阪府内の主な浄水場の原水・浄水・給水栓水中のPFOS・PFOAを調査しており、そのレベルが概ね1~100ng/Lの範囲であり、PFOSとPFOAではPFOAの方が濃度が高いという結果を、2007年5月23日に行政から報道提供した。現在、我が国ではPFOAに関する水道水質基準等は設定されていない。しかし、米国EPAと企業側との間で設定されたアクションレベル(500ng/L、水道水においてこのレベル以上のPFOAが検出された場合は、企業側は水道水の浄化や代換水源に責任を持って行なうという基準)と比較すると、今回検出したPFOA濃度はかなり低かった。
原因究明:
PFOS・PFOAの汚染源は不明。
診断:
固相抽出‐LC-MS/MS法で定量を行なった。
地研の対応:
大阪府内外の水道事業体や一般市民からの相談・問い合わせに対応した。また、大阪府内水道事業体からの水道水中のPFOS・PFOAの依頼検査を迅速に実施した。
行政の対応:
マスメディアからの質問に対応するとともに、当所と連携を密にし、情報の共有化を行なった。また、2006年度に実施した大阪府内の主な浄水場の原水・浄水・給水栓水中のPFOS・PFOA濃度の測定結果を、2007年5月23日に報道提供した。
地研間の連携:
なし
国及び国研等との連携:
なし
事例の教訓・反省:
河川水中の有機フッ素化合物について先行的に調査研究を行なっていたので、新聞報道後の相談や依頼検査に迅速に対応できた。
現在の状況:
水道原水および浄水を継続的に調査している。また、水道事業体からの依頼検査も受けている。
今後の課題:
主たる発生源やヒトへの健康影響が明らかとなっていないため、継続的な汚染監視と正確なリスク評価が必要である。
問題点:
近年注目され始めた新しい汚染物質であり、基準値が設定されていない。
関連資料:
大阪府健康福祉部環境衛生課水道・生活排水グループ
報道提供資料(平成19年5月23日)