No.1404 ホスピタルダイエットによる健康被害事例

[ 詳細報告 ]
分野名:その他
登録日:2016/03/08
最終更新日:2016/05/27
衛研名:横浜市衛生研究所
発生地域:横浜市
事例発生日:2007年9月
事例終息日:
発生規模:1名
患者被害報告数:1名
死亡者数:0名
原因物質:甲状腺ホルモン、シブトラミン、ビサコジル、フルオキセチン、フロセミド
キーワード:ホスピタルダイエット、甲状腺ホルモン、シブトラミン、ビサコジルフルオキセチン、フロセミド、甲状腺機能亢進症

背景:
2007年9月にホスピタルダイエットによる健康被害事例が発生した。

概要:
親族から海外旅行(タイ)で購入したホスピタルダイエット(薄茶色錠剤、水色錠剤、緑と灰色カプセル、紫色錠剤、黄と茶色カプセル、肌色錠剤の6種類)を譲り受け、それを服用した市民(40代女性)に健康被害と疑われる事例が発生している旨の連絡が、2007年9月に市民を診察した医療機関から当所に寄せられた。
市民は、2007年8月中旬から服用を開始し、服用後に微熱、動悸、体重減少などの症状が出たため医療機関を受診したところ、甲状腺機能亢進症状があり、血液検査の結果、甲状腺ホルモンが高値であった。服用していた薬は中止し、その後、体調は回復している。

原因究明:
市民から提供された6種類の当該製品について成分検査を行った。甲状腺機能亢進の症状から甲状腺ホルモンについて、浜田ら1)の方法により蛋白分解酵素反応を経て、分解物である3,3’,5-トリヨード-L-チロニン、L-チロキシンをLC/MS法で測定した。その結果、薄茶色錠剤、水色錠剤から甲状腺ホルモン(3,3’,5-トリヨード-L-チロニン、L-チロキシン)を検出した。さらに、この2物質が検出された錠剤については、組織学的検査を行い、甲状腺ろ胞細胞を確認した。
次に、当所で構築したLC/MS法によるライブラリー検索2)で、緑と灰色カプセル、紫色錠剤、黄と茶色カプセル、肌色錠剤から、それぞれシブトラミン、ビサコジル、フルオキセチン、フロセミドを検出した。定量試験は、シブトラミンをGC/MS法3)、ビサコジル、フロセミドをHPLC法4,5)、フルオキセチンをLC/MS法で行った。その結果、1錠あるいはカプセルあたりの含有量は、シブトラミン10㎎、ビサコジル4.6㎎、フロセミド8.2㎎、フルオキセチン16㎎であった。
以上の結果、6種類の錠剤及びカプセルについて、その成分を明らかにすることができた。

診断:

地研の対応:
2007年11月、市民から当該製品の提供を受け原因究明の検査を行った。

行政の対応:
横浜市健康福祉局はプレス発表を行い、一般市民へホスピタルダイエットの使用による健康被害について注意喚起を行った。また、検出事例を厚生労働省へ報告した。

地研間の連携:
神奈川県衛生研究所からホスピタルダイエットに関する情報の提供を受けた。

国及び国研等との連携:
なし

事例の教訓・反省:
なし

現在の状況:
特になし

今後の課題:
なし

問題点:

関連資料:
1)第38回全国衛生化学技術協議会年会講演集 p.170-171
2)第45回全国衛生化学技術協議会年会講演集 p.237-238
3)平成15年4月11日付医薬監麻発第0411004号厚生労働省医薬局監視指導・麻薬対策課長通知
4)福岡県保健環境研究所年報 32,64-68(2005)
5)財団法人化学物質評価研究機構 Application No.2016