[ 詳細報告 ]
分野名:自然毒等による食中毒
登録日:2016/03/08
最終更新日:2016/05/27
衛研名:京都府保健環境研究所
発生地域:京都府乙訓保健所管内
事例発生日:2007年4月27日
事例終息日:
発生規模:事業所内食堂
患者被害報告数:16名
死亡者数:0名
原因物質:ヒスタミン
キーワード:ヒスタミン、ヒスタミン生成菌、アレルギー様症状、マグロ、Raoultella planticola、室温解凍
背景:
概要:
平成19年4月27日(金)午後3時45分頃、乙訓保健所管内S病院医師から「職員食堂でマグロフライ定食を食べた複数の病院職員が頭痛、発赤などの症状を呈している」との連絡があった。調査の結果、マグロフライ定食を喫食した職員105名中16名が、食後30分~2時間の間に、頭痛、顔面紅潮、吐き気などのアレルギー様症状を呈していた。発症者は、医師の適切な治療により全員軽快した。同一厨房で入院患者食を調理していたが、共通食材はなく、入院患者に同様の症状を呈する者はいなかった。食材の残品を保健環境研究所で検査した結果、漬け込みマグロからヒスタミン4.1mg/g及びヒスタミン生成菌(Raoultella planticola)30cfu/gが検出された。生マグロからはいずれも検出されなかった。検査結果及び保健所の調査結果から、マグロフライ定食を原因とするヒスタミン食中毒と断定された。食中毒原因食品であるマグロは、室温解凍(約8時間)されたことにより、ヒスタミン生成菌が増殖し、ヒスチジンが分解されてヒスタミンが産生されたことによりアレルギー性食中毒を引き起こしたと考えられる。
原因究明:
漬け込みマグロからヒスタミン及びヒスタミン生成菌が検出され、マグロフライ定食を原因とするヒスタミン食中毒と断定された。
診断:
ヒスタミンによる食中毒(漬け込みマグロの残品からヒスタミン4.1mg/g及びヒスタミン生成菌(Raoultella planticola)30cfu/g検出)
地研の対応:
食材のヒスタミン及びヒスタミン生成菌の検査
行政の対応:
施設の積極的な協力により保健所は迅速な調査を実施できた。
地研間の連携:
なし
国及び国研等との連携:
なし
事例の教訓・反省:
長時間の室温解凍による食中毒の事例であった。調理従事者への食品衛生教育が必要である。
現在の状況:
今後の課題:
問題点:
関連資料: