No.1504 サポウイルスによる食中毒事例

[ 詳細報告 ]
分野名:ウィルス性感染症
登録日:2016/03/08
最終更新日:2016/05/27
衛研名:神奈川県衛生研究所
発生地域:神奈川県鎌倉市
事例発生日:2011年1月5日
事例終息日:2011年1月11日
発生規模:30名
患者被害報告数:24名
死亡者数:0名
原因物質:1月5日提供の食事
キーワード:食中毒、サポウイルス、従事者

背景:

概要:
平成23年1月13日、鎌倉市内のある事業所の飲食店運営会社から「1月5日に飲食店を利用したグループの複数名が発熱、嘔吐等の症状を呈しているとの連絡を1月9日に受けている」旨の連絡が保健福祉事務所にあった。調査を行ったところ、2011年1月5日に事業所内の飲食店で会食した30名中24名が嘔吐、下痢等の食中毒様症状を呈していた。食中毒様症状を呈している人の共通の食事は、この飲食店での会食だけであること、症状が共通していること、患者を診察した医師から食中毒の届出があったことから、この飲食店の食事を原因とする食中毒と決定した。

原因究明:
平成23年1月13日午後、当該施設に立ち入り調査を実施したところ、当該営業者が11日にすでに施設内の清掃、消毒作業を行っており、立ち入り調査実施時には施設内は衛生上良好な状態であった。また1月5日に提供した食事の検食は、民間検査機関に食中毒菌のみについて検査依頼をしており、検食の確保ができず、検食について原因物質の検索はできなかった。
摂食者の行動調査で、当該施設の1月5日の食事以外に共通事項は認められず、発症者が共通した食中毒様症状を呈していること、発症率が高いことから感染症の可能性は否定された。また、サポウイルスの検出された従事者も会食に提供された食事を1月5日に摂食していることがわかった。これらのことから、サポウイルスを病因物質とした当該施設の提供した食事を原因とする食中毒とした。

診断:

地研の対応:
施設ふきとり5検体、検便27検体(発症者22検体、非発症者の従事者5検体)について、細菌性食中毒菌およびノロウイルス、サポウイルス、アストロウイルスウイルス、ロタウイルス、アデノウイルスの下痢症ウイルスについての検索を実施した。
その結果、施設ふきとり5検体は、細菌性食中毒菌および下痢症ウイルスは不検出であった。検便27検体は、細菌性食中毒菌およびノロウイルス、アストロウイルスウイルス、ロタウイルス、アデノウイルスは不検出であったが、サポウイルスが27検体すべてから検出された。サポウイルスについてダイレクトシーケンスを実施したところ、発症者および従事者いずれの塩基配列も100%一致しており、これらはG1/2 Potsudam(AF294739)と近縁であった。

行政の対応:
1月15日から当該施設を営業禁止処分とした。発生要因として従事者・器具類を介した二次汚染、原材料汚染が考えられたことから、営業再開に向けた飲食店運営会社への衛生指導を実施し、再発防止が図られたことが確認できたことから、1月17日営業禁止を解除した。

地研間の連携:

国及び国研等との連携:

事例の教訓・反省:

現在の状況:

今後の課題:

問題点:

関連資料: