[ 詳細報告 ]
分野名:自然毒等による食中毒
登録日:2016/03/08
最終更新日:2016/03/22
衛研名:神奈川県衛生研究所
発生地域:神奈川県小田原市
事例発生日:2004年9月3日
事例終息日:
発生規模:摂食者88名
患者被害報告数:21名
死亡者数:0名
原因物質:ヒスタミン
キーワード:ヒスタミン、アレルギー様食中毒、カジキ、給食施設
背景:
ヒスタミンによる食中毒は、遊離のヒスチジン含有量の高い赤身のさば、まぐろ、鰯等にモルガン菌(Morganella morganii)等のヒスチジン脱炭酸酵素を有する細菌が増殖したときに発生する。一般的には、100mg/100g以上のヒスタミンを含む食品を摂取した場合、摂取後30~60分で発症し、症状は眼、口に熱を感じ、顔面紅潮、発疹、さらに頭痛、悪寒、嘔吐、下痢を伴うこともある。また、カダベリンなどのアミン類の共存により、ヒスタミンの効果が増強するとされている。
概要:
2004年(平成16年)9月に事業所内給食施設で食事をした88名のうち21名が、摂食後3時間以内に、発疹、発赤、体熱感、下痢、嘔吐などのアレルギー様症状を訴え、1名が入院した。
原因究明:
検食の「カジキのおろしバター醤油」から390mg/100gのヒスタミンが検出され、発症量とされる濃度の4倍近い高濃度のヒスタミンが検出されたため、ヒスタミンによる食中毒と判断した。
診断:
搬入された検食6品目について、HPLCによりヒスタミンおよびカダベリンを検査した。「カジキのおろしバター醤油」からヒスタミンが390mg/100g、カダベリンが14mg/100g検出された。
地研の対応:
搬入された検食6品目について、ヒスタミンおよびカダベリンの検査を行った。
行政の対応:
保健福祉事務所が調査を行い、ヒスタミンによる食中毒を疑い、当該昼食の検食6品目についてヒスタミンの検査を当衛生研究所に依頼した。高濃度のヒスタミンが検出されたため、ヒスタミンによる食中毒と判断し、この施設を2日間の営業停止処分とした。
地研間の連携:
国及び国研等との連携:
事例の教訓・反省:
現在の状況:
2011年より、HPLCに代えてLC-MS/MSによる分析法により実施している。
今後の課題:
問題点:
関連資料:
神奈川県衛生研究所研究報告第34号(平成16年9月)P52-55
渡邊裕子ら魚介類加工品によるアレルギー様食中毒および苦情事例について