[ 詳細報告 ]
分野名:ウィルス性食中毒
登録日:2016/03/08
最終更新日:2016/05/27
衛研名:山梨県衛生環境研究所
発生地域:山梨県
事例発生日:2012年12月11日
事例終息日:
発生規模:3,775名
患者被害報告数:1,442名
死亡者数:0名
原因物質:ノロウイルス
キーワード:食中毒、仕出し弁当、ノロウイルス
背景:
概要:
平成24年12月11日、12日に弁当製造施設で調理・配送した弁当を喫食した3,775名中1,442名が食中毒症状(下痢・嘔気・腹痛・嘔吐・発熱)を呈し、患者便からノロウイルスG IIが検出された。患者に共通する食事が仕出し弁当に限られていること、調理員1名と複数の患者の便からノロウイルスGIIが検出されたこと、症状・潜伏時間がノロウイルスによるものに合致したこと、患者を診察した医師から食中毒患者届出票が提出されたことから仕出し弁当を原因とする集団食中毒と断定し、病因物質はノロウイルスG IIと特定した。
原因究明:
弁当製造施設を経営する会社は、他に県内に2施設(本社工場、A工場)と県外に2施設の計5施設で弁当の調理、配送を行っていた。食中毒の患者は当該施設の配送先のみに発生しており、他の配送先では確認されなかった。
当該施設では本社工場から盛付け配送された弁当と、当該施設で調理、盛付けした弁当を合わせて毎日約3,900食を事業所等に配送していた。米飯は、原則本社工場で炊飯し、米飯用弁当箱に盛付けされたものをそのままの状態で配送していた。当該施設で使用する食材は一旦本社工場に納品された後納品されるためすべて本社工場と同じ食材であった。12月11日の弁当については、発症した調理員が調理行為の中で手指、調理器具等を介してノロウイルスの汚染を食品に拡げた可能性が極めて高いと考えられた。また、発症した調理員は作業中に何回かトイレを使用しており、その際に接触したトイレや出入口のドアノブ等から配送係を含めた他の従業員にもノロウイルスの汚染が拡がり、その他の弁当を汚染した可能性も考えられた。発症した調理員は12月12日には出勤していないが、前日に調理器具や施設のドアノブ等に付着していたノロウイルスが他の従業員の手指や調理器具を介して12日の弁当に汚染を拡げたと考えられた。
12月11日、12日の検食からノロウイルスは検出されていないが、以上のことから、本社
工場から配送された弁当を含め11日と12日に当該施設から配送されたすべての弁当を原因食品とした。
診断:
地研の対応:
患者25名の便を検査し、22名からノロウイルスG IIを検出した。この内19名についてその遺伝子型を検査したところ、すべてノロウイルスG II/42006であった。食中毒菌は検出されなかった。
従業員69名の便を検査し、22名からノロウイルスG IIを検出した。この他、ノロウイルスGI・G II、ノロウイルスGIをそれぞれ1名から検出した。ノロウイルスG IIを検出した22名の内11名についてその遺伝子型を検査したところ、10名がノロウイルスG II/42006、1名がノロウイルスG II/42012変異株であった。食中毒菌は検出されなかった。
検食89検体の細菌検査を行ったところ、食中毒菌は検出されなかった。また、12検体についてノロウイルスの検査を行ったが、検出されなかった。
施設の拭き取り検体42検体の細菌検査を行ったが、食中毒菌は検出されなかった。
行政の対応:
平成24年12月14日から当該施設の営業禁止措置を講じ、原因の究明、衛生教育、施設の清掃消毒、再発防止に向けた改善が確認された12月30日に営業禁止措置を解除した。
地研間の連携:
国及び国研等との連携:
事例の教訓・反省:
現在の状況:
今後の課題:
問題点:
関連資料: