[ 詳細報告 ]
分野名:自然毒等による食中毒
登録日:2016/03/08
最終更新日:2016/03/22
衛研名:大阪府立公衆衛生研究所
発生地域:大阪府茨木市
事例発生日:2013年7月2日
事例終息日:
発生規模:喫食者数29名
患者被害報告数:16名
死亡者数:0名
原因物質:ヒョウタン
キーワード:ヒョウタン、ククルビタシンB、自然毒、苦味成分、ウリ科植物
背景:
ヒョウタン等のウリ科植物には、苦味成分である自然毒「ククルビタシン類」が含まれている。中毒症状は、唇のしびれ、吐き気、おう吐、腹痛、下痢などであり、過去の事例では、喫食残品からククルビタシンBまたはDが検出されている。
概要:
(試料および分析方法)
喫食残品および同一圃場で栽培されたヒョウタンの試料提供を受け、ククルビタシン類の分析を行った。測定対象は、標準品を入手することができたククルビタシンBとした。試料溶液は、大城らの報告(関連資料参照)に準じて調製し、LC/MSおよびTLCにより分析を行った。
(分析結果)
LC/MSおよびTLCによる分析の結果、喫食残品および同一圃場で栽培されたヒョウタンからククルビタシンBが検出された。対象品として用いたキュウリおよびゴーヤからは、ククルビタシンBが検出されなかった。定量下限は、0.1μg/gである。
原因究明:
診断:
喫食残品および同一圃場で栽培されたヒョウタンからククルビタシンBが0.2mg/g検出された。
地研の対応:
(試料および分析方法)
喫食残品および同一圃場で栽培されたヒョウタンの試料提供を受け、ククルビタシン類の分析を行った。測定対象は、標準品を入手することができたククルビタシンBとした。試料溶液は、大城らの報告(関連資料参照)に準じて調製し、LC/MSおよびTLCにより分析を行った。
(分析結果)
LC/MSおよびTLCによる分析の結果、喫食残品および同一圃場で栽培されたヒョウタンからククルビタシンBが検出された。対象品として用いたキュウリおよびゴーヤからは、ククルビタシンBが検出されなかった。定量下限は、0.1μg/gである。
行政の対応:
調査結果を報道発表するとともに、以下の内容の注意喚起を大阪府のホームページに掲載した。「食用でないヒョウタンや苦味の強いウリ科植物には、苦味成分であるククルビタシン類が多く含まれていることがあるので、これらを食べることは避けて下さい。」
地研間の連携:
和歌山県環境衛生研究センターからククルビタシンB標準品(和光純薬工業株式会社製)の提供を受けた。
国及び国研等との連携:
国立医薬品食品衛生研究所の大城直雅氏に連絡を取り、試験法の詳細等について指導および助言を受けた。
事例の教訓・反省:
ククルビタシンBの中毒量に関する情報(文献等)が入手出来なかった。
現在の状況:
市販されている植物性自然毒の標準品を入手し、分析法の開発を行っている。
今後の課題:
標準品を入手することが困難な自然毒があり、網羅的な分析を行うことが出来ない。
問題点:
関連資料:
・大城直雅、佐久川さつき、沖縄県における化学物質と自然毒による食中毒および苦情事例-平成20年度-、沖縄県衛生環境研究所報第43号(2009)
・山口瑞香、野村千枝、梶村計志、ひょうたんによる食中毒事例について、平成25年度地方衛生研究所全国協議会近畿支部自然毒部会研究発表会講演要旨集p.16(2013)