No.1323 シガテラ毒魚による食中毒

[ 詳細報告 ]
分野名:自然毒等による食中毒
登録日:2016/03/08
最終更新日:2016/05/27
衛研名:茨城県衛生研究所
発生地域:茨城県(神栖市、鹿嶋市、潮来市)、千葉県(香取市、香取郡東庄町、印旛郡酒々井町)
事例発生日:2006年6月7日
事例終息日:
発生規模:摂食者数41名、発症数17名
患者被害報告数:17名
死亡者数:0名
原因物質:シガトキシン
キーワード:バラフエダイ シガテラ シガトキシン 食中毒

背景:
平成18年6月、南方域で漁獲された魚によるシガテラ食中毒事例が発生した。

概要:
平成18年6月15日、千葉県健康福祉部衛生指導課から当県保健福祉部生活衛生課に、「千葉県内の医療機関から、シガテラ食中毒が疑われる患者2名が受診したとの連絡があり、共通食は茨城県内の飲食店での食事である」との連絡があった。
調査の結果、原因食品は、茨城県神栖市のレストランで‘フエフキダイ’として提供された魚のムニエルまたはパスタであり、原因魚は遠洋はえ縄漁船により南鳥島沖で漁獲されたもので、水揚げ後の競り売りで‘フエフキダイ’として流通したことが判明した。しかし、この魚は、その全姿の写真からシガテラ魚として知られるバラフエダイであると推定された。
摂食者数は41名で、そのうち17名が発症した。症状は、発症者全員が倦怠感を訴えたほか、ほとんどの人に下痢、腹痛といった通常の食中毒症状(発症率94.1%)とともに温度感覚異常(ドライアイスセンセーション)などの神経症状(発症率94.1%)がみられた。

原因究明:
当該飲食店に対し、2日間の営業停止および再発防止のために従業員などへ魚の自然毒に関する講習を実施し、また、当該魚を販売した業者に対しては、文書による厳重注意を行った。

診断:
残品は0.4MU/gの毒力およびシガトキシン陽性を示した。

地研の対応:
残されていた原因魚の切り身についてマウスアッセイにより毒性を調べた。また、シガトキシンのモノクロナール抗体を利用した検査キットによりシガトキシンの有無を検査した。検査の結果、0.4MU/gの毒力が検出され、シガトキシンも陽性であった。

行政の対応:
当該飲食店に対し、2日間の営業停止および再発防止のために従業員などへ魚の自然毒に関する講習を実施し、また、当該魚を販売した業者に対しては、文書による厳重注意を行った。

地研間の連携:

国及び国研等との連携:
広島大学及び四国大学よりシガトキシン検出キット(Cigua-Check)の分与を受けた。

事例の教訓・反省:

現在の状況:
バラフエダイなど、シガテラ毒をもつ可能性の高い魚の流通禁止措置が望まれる。

今後の課題:

問題点:
シガテラ検査法として、公定分析法が収載されている「食品衛生検査指針」にマウスの致死をみるマウスアッセイ法が参考法として採用されているが、マウスを24時間観察し、特異的症状を確認するのは困難で、致死した場合でも、この方法だけでは断定が難しい。

関連資料:
1)小森春樹:シガテラ毒による食中毒、食品衛生学雑誌、48、J198-J199,2007.
厚生労働省監修:食品衛生検査指針理化学編、p.691-693、2005.