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本ページでは現在連載中の、健康局結核感染症課の浅沼一成課長によるコラムを掲載しています。
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◆「あさコラム」vol.14「ともだち」(2016年7月22日)
こんにちは、厚生労働省健康局結核感染症課長の浅沼一成です。
各地から梅雨明けの報告、これから本格的な夏到来ですね。
さて、先日、放送作家の草分け的存在で、放送業界で長く活躍された永 六輔さんが肺炎で逝去されたとの報道がありました。
心からご冥福をお祈りいたします。
永さんはテレビ業界の草創期に人気番組を手がけるとともに、自らもラジオのパーソナリティとしても活躍されていました。
また、国民的歌謡曲の「上を向いて歩こう」などの作詞、ベストセラー「大往生」の執筆など、作詞家、作家としても業績を残しています。
その永さんが作詞した歌のなかに、坂本 九さんの「ともだち」という歌があります。
昭和39年(1964年)10月中旬、全国社会福祉協議会の更井さんという方が、ベッドスクールの仙台市立西多賀小・中学校療養所分校(現在の西多賀支援学校)を訪問しました。
その時に、ハンディにも負けず頑張っている子どもたちが「人気歌手の坂本 九さんにベッドスクールの歌をぜひ歌ってほしい」との声がありました。
更井さんは、子どもたちのこの想いを高校時代の同級生である永さんに相談したところ、永さんは快く受託。
こうして誕生した歌が「ともだち」ですが、実はこの歌はベッドスクールの歌だけに留まらなかったのです。
昭和40年(1965年)3月13日、日本武道館にて開催された「第2回 あゆみの箱チャリティーコンサート」で、坂本さんがこの「ともだち」を初めて披露しました。
「あゆみの箱」は、俳優の伴 淳三郎さんと森繁 久彌さんの呼びかけで生まれた福祉のための社団法人ですが、そのきっかけのひとつが小児麻痺、ポリオでした。
「この募金箱で、手足の不自由な子どもたちが歩めるように」との思いを込め、法人と募金箱は『あゆみの箱』と名付けられました。
坂本さんの歌った「ともだち」は、『あゆみの箱』のチャリティーテーマソングとしても大ヒット。翌年の昭和41年(1966年)には、第38回選抜高等学校野球大会の入場行進曲にも選ばれました。
WHO(世界保健機関)で活躍された尾身 茂先生や国立感染症研究所の先生方などの献身的な取り組みのおかげもあり、今では世界におけるポリオの根絶は目前となっています。
しかし、昭和30年代当時のわが国では、ポリオは感染症対策の大きな課題の一つでした。
東京大学名誉教授の平山 宗宏先生の文献によりますと、当時は夏休みの時期になると、隔離病室はポリオ、日本脳炎、疫痢の患者さんで一杯という状況だったそうです。
その後、昭和36年(1961年)のポリオの生ワクチンの緊急輸入やNHKのキャンペーン運動、ポリオサーベイランス事業、ワクチンの定期接種化など、当時の古井 喜実 厚生大臣をはじめとする先人の方々の英断とご尽力により公衆衛生施策の充実が図られた結果、わが国のポリオは根絶、たくさんの子どもたちの
未来を豊かにしてくれました。
私もその子どもたちの一人だったんだなと、永さんの追悼番組で流れていた「ともだち」を聴きながら、感慨にふけりました。
告知です。
7月27日(水)20:10〜、ラジオNIKKEI「感染症TODAY」という番組で、「わが国の薬剤耐性対策アクションプランについて」が放送されます。
インターネットラジオサービスでも聴けますので、ご興味のある方はぜひお聴き下さい。
では、次回もどうぞよろしくお願いします。
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