『保健医療科学』第58巻 第3号, p.231-235 (2009年9月)
特集:新型インフルエンザ流行対策 ― 国立保健医療科学院の取り組みと今後の活動に向けて―
新型インフルエンザ対策における世界の潮流 ─WHO(世界保健機関)を中心とした諸機関のネットワーク─
児玉知子
国立保健医療科学院人材育成部国際保健人材室
抄録
グローバル化に伴ってヒトや物の移動範囲は地球規模となり,感染症集団発生後の拡大範囲やスピードは,もはや一国のみで対応しきれない状況にある.このような地球規模での感染症対策にとって,リアルタイムでの感染動向情報の共有,さらに各国政府の感染症対策施策における一定のコンセンサスが欠かせない.新型インフルエンザ対応で特徴的であるのは,感染症にとどまらない各国の危機管理分野,例えば化学物質や放射線,災害,バイオテロなど,公衆衛生上で迅速に対応が求められるネットワークや対応機関が積極的に関与していることである.本稿では,WHO(世界保健機関)や海外での新型インフルエンザ対応機関について概論する.
キーワード: 新型インフルエンザ対策,ネットワーク,サーベイランス,世界保健機関(WHO)
Abstract
The globalization of human socio-economic activity has increased the risk for transmission of communicable diseases, making a global network essential for the current national influenza strategy in every country. The author describes responses by WHO and other overseas agencies responsible for influenza surveillance and control with regard to reducing the number of people affected by annual influenza epidemics and preparing for the next influenza pandemic.
keywords: novel influenza, global network, Surveillance and Control, WHO