サマリー
- 病原体の特徴
- エボラ(フィロ)、マールブルグ(フィロ)、クリミア・コンゴ(ブニヤ)、ラッサ(アレナ)すべて、1本鎖 RNAウイルス
- 分類と潜伏期間
- エボラ出血熱
- 3~21日
- マールブルグ出血熱
- 2~10日
- クリミア・コンゴ出血
- 1~13日
- ラッサ熱
- 2~21日
- エボラ出血熱
- 感染経路
- 4疾患すべて、ヒト-ヒト間では主に接触感染によって伝播する。
- 臨床症状
- 4疾患すべて、発熱や頭痛、咽頭痛などのインフルエンザ様症状で突発的に発症。
- ラッサ熱は3~4日かけて比較的緩徐に病状が進行するが、他の3疾患は進行が早い。
- 下痢や腹痛などの消化器症状もしばしば認められる。
- エボラ出血熱は発症3日目頃、マールブルグ出血熱は5日目頃、クリミア・コンゴ出血熱は2~3日目頃、ラッサ熱は3~4日目以降に重症化してから、皮下の点状出血、躯幹部出血、粘膜・消化管出血が出現する。
- エボラ出血熱の致死率は50~90%(平均70%)と極めて高い。マールブルグ出血熱の致死率はこれまでの報告では24~88%、クリミア・コンゴ出血熱の致死率は10~40%である。ラッサ熱はリバビリンで治療された場合の死亡率は全体の1%程度である。
- 検体の種類および採取法
- 末梢血
- 血清
- 咽頭ぬぐい液
- 尿
- 剖検材料など
- 検体の輸送法
- 各検体とも、基本型三重包装容器を用いて輸送する。
- 微生物学的検査法
- PCR法による遺伝子迅速診断
- 抗原、抗体の検出(ELISA法)
- ウイルス分離培養(血液、ぬぐい液、尿)
- 治療の要点
- エボラ出血熱
- 補助的治療として体液喪失に対する補液(経口あるいは経静脈的)と電解質異常の補正が重要である。いくつかの実験的な治療薬が検討されている。
- マールブルグ出血熱
- 特異的な抗ウイルス薬はなく、対症療法のみである。
- クリミア・コンゴ出血熱
- リバビリンが奏功する可能性が示唆されているが、有効性は証明されてはいない。
- ラッサ熱
- リバビリンが著効することが知られており、発症後6日以内にできるだけ早く投与開始する。
- エボラ出血熱
2018年3月 改訂